2026年9月02日

虫歯が進行して歯の大部分が失われた状態を「残根(ざんこん)」といいます。「もう根しか残っていないから抜くしかない」と言われた経験はありませんか?実は、根が歯ぐきの中に残っていても、適切な処置によって歯を残せるケースがあります。今回は「クラウンレングスニング」と「ルートエクストルージョン」という2つの方法をご紹介します。
なぜ残根でも歯を残せるのか
被せ物(クラウン)を作るには、歯ぐきの上に一定量の歯質が出ていることが必要です。残根状態では歯質が歯ぐきに埋まっているため、そのままでは被せ物が作れません。そこで、歯質を歯ぐきの上に露出させる処置を行うことで、抜歯せずに歯を活かせる可能性が生まれます。
① クラウンレングスニング(歯冠延長術)
歯ぐきや周囲の骨を外科的に削ることで、歯質を意図的に露出させる方法です。処置後は数週間の治癒期間を経て被せ物の製作に進みます。比較的短期間で完結できるのが特徴で、奥歯など骨の量が十分にある部位に適しています。ただし、歯ぐきの位置が下がるため、審美面への影響を事前に確認することが大切です。

② ルートエクストルージョン(歯根挺出術)
矯正の力を利用して、歯の根を少しずつ引っ張り上げて歯ぐきの上に出してくる方法です。骨や歯ぐきを削らずに歯質を露出できるため、周囲の組織へのダメージが少なく、前歯など審美的に目立つ部位にも適しています。治療期間は数ヶ月かかりますが、歯ぐきのラインを自然に保ちやすいのが利点です。
2つの方法、どちらを選ぶ?
・ 治療期間を短くしたい・奥歯に適用 → クラウンレングスニング
・ 審美性を重視・前歯に適用 → ルートエクストルージョン
どちらが適切かは、残っている骨の量・歯根の長さ・部位・全体の噛み合わせなどを総合的に判断して決定します。場合によっては両者を組み合わせることもあります。
「抜歯」の前にご相談を
自分の歯を1本でも多く残すことは、長期的なお口の健康につながります。「根しか残っていないと言われた」「抜くしかないと診断された」という方も、ぜひ一度当院にご相談ください。精密な検査のうえで、歯を残せる可能性をご一緒に探ります。
