
インプラント
インプラント
歯を失った際の治療法として、入れ歯(義歯)やブリッジが一般的でした。しかし近年、「第3の治療法」としてインプラントが普及しています。インプラントとは、チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め、その土台の上に人工歯を装着する治療法です。天然歯に近い噛み心地と見た目を実現できます。入れ歯やブリッジとは異なり、健康な隣在歯を削ることなく高い残存率を誇ります。
インプラントの大きな特長は安定感や使い心地です。その秘密は「支えの強度」にあります。人間の噛む力は、50~60キロにも達するといわれています。天然歯は、その力に耐える構造でできています。インプラントはその天然歯と同じ構造で、硬いものを食べたときの違和感や痛みに悩まされることはありません。まずは、お気軽にご相談ください。
インプラント治療を行うにはいくつかの条件があります。まず、土台となる歯槽骨が健康であることです。骨量が不足している場合は、骨を補う「骨造成」が必要になります。方法としては、骨移植法、骨再生誘導法、上顎洞底挙上法などがあります。神経との位置関係や歯周病の進行程度なども調べる必要があります。また、インプラントは外科手術を伴うため全身の健康状態が良好なことが求められます。
心疾患や糖尿病といった持病がある場合、施術が制限されることがあります。顎の成長が完了していない発育途中の子どもも適していません。術後は、歯科医院での定期的なメンテナンスと毎日の丁寧なブラッシングが重要です。これらを怠ると歯周病に似たインプラント歯周炎が起こり、土台の骨が侵される危険性があります。
インプラントは以下の3つのパーツで構成されています。土台となるのが歯槽骨に埋められるインプラント体と呼ばれる人工歯根です。材質はチタンあるいはチタン合金で、様々な長さや太さがあります。骨量や埋める位置によって選択します。その上に上部構造と呼ばれる人工の歯をかぶせます。材質はレジン(プラスチック)、セラミック(陶器)、セラミックとレジンを混ぜ合わせたハイブリッドセラミック、金合金などがあります。強度や色調に違いがあります。人工歯根と上部構造の間にはアバットメントという部分があり、2つを連結するとともに人工歯根を守る役割を担います。材質はチタン、チタン合金、ジルコニアなどです。
歯を失った部位にインプラントを入れることで天然歯のような噛み合わせを回復できます。部分入れ歯やブリッジのように周りの歯を削ることがありません。単独で治療ができます。
天然歯のように噛む力を顎の骨が直接受け止めるため、残存歯への過剰な負担を防ぐことができます。
インプラントと顎骨がしっかり結合するため、義歯では得られない天然歯に近い噛みごたえが期待できます。留め具も不要で、ご自分の歯と同様の感覚が得られます。
歯ぐきから歯が生えている状態を再現できます。天然歯と区別がつかない自然な仕上がりです。
インプラントは利便性や快適性、さらには審美性を叶えることができる補綴(ほてつ)治療といえます。
顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術です。そのため骨とインプラントが結合するまでの時間が要するため治療期間が長くかかります。
健康保険の適用外で自費診療になるため、治療費が比較的高額になります。
糖尿病などの全身疾患がある方や、顎の骨の状態に問題がある方は、治療に制限が出ることがあります。事前に相談が必要です。また、成長途中のお子さまには適していません。インプラントは骨と結合するため、顎骨の発育に伴い位置が変わったり骨の中に埋もれる可能性があります。
インプラント周囲炎(歯周病)を防ぐため、丁寧なブラッシングが必要です。インプラントは天然歯よりも細いため、歯ぐきとの境目に段差ができやすく、汚れがたまりやすくなります。磨き方のコツを習得していただく必要があります。歯科での定期的なメンテナンスも必要になります。
インプラントには、インプラント体とアバットメントが一体となったワンピースタイプと、インプラント体にアバットメントを連結するツーピースタイプがあります。また、形状はスクリュー(ネジ状)タイプとシリンダー(円筒形)タイプがあります。スクリュータイプのほうが初期固定(インプラント体が骨によって固定されること)が得られやすいことや、噛む力を周囲の骨に分散できることから広く採用されています。
検査とカウンセリング
まずは、レントゲンや歯科用CTを使って、お口の状態を正確に把握することから始まります。CT検査ではスキャンしたお口の中のデータを3D化し、コンピュータ上で埋入する部位の骨の状態(質、厚み、高さ)や血管の位置などを確認することで手術のシミュレーションを行います。この検査結果に基づいて最適な治療計画を立案します。内容はカウンセリングで丁寧に説明いたします。カウンセリングでは治療へのご希望やご不安などもうかがいますので、遠慮なくご相談ください。
術前クリーニング
手術前にお口の中を清掃し、感染のリスクを減らしていきます。
インプラント手術
術式は手術を1回だけ行う1回法と、2回に分けて行う2回法があります。手術ではもちろん麻酔を使用するため、痛みを感じることはありません。
治療部位の粘膜を切開し、骨を露出させて専用ドリルで穴を開けます。そこにワンピースタイプ、またはツーピースタイプでアバットメントを同時に装着する方法です。
インプラント体を埋め込む工程は1回法と同様ですが、インプラントはアバットメントが分かれているツーピースインプラントを使用します。インプラント体を埋め込んだ後、上部の穴にカバーを装着し、縫合して1次手術は終了です。1次手術より数カ月後(上顎は5カ月前後、下顎は3カ月前後が目安)に2次手術を行います。2次手術は治療部位の粘膜を切開し、カバーを除去して仮のヒーリングアバットメントを連結します。粘膜が治癒したら(2~3週間が目安)本物のアバットメントを連結して終了です。
人工歯の作製と装着
2次手術を終え歯肉の状態が安定したら、型取りを行って仮歯を作製します。この際にかみ合わせや舌の違和感、頬を噛むなどの不具合がないかを確認し調整します。最終的に完成した人工歯をアバットメントに装着して治療は終了です。
インプラントはメンテナンスが重要です
インプラントを長持ちさせるには日常の手入れと観察(メンテナンス)が大切です。清掃は歯科衛生士が専用歯ブラシなどを使用して指導します。また、定期的にかみ合わせの確認やレントゲン撮影をしてインプラント体の周囲骨の吸収状態などを診査します。装着後1カ月、3カ月、6カ月、1年と1年以内は短い間隔で行い、1年以降は問題がなければ年1回のメンテナンスを行います。
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